2000.1.21魁 「対話・会話」

シルバー・コンパクト・シティー
清水浩志郎氏

 地方都市における郊外ヘの無秩序な拡大は、優良な緑地や農地を荒廃させるばかりでなく、道路や上下水道など無駄な社会インフラを要請し、朝夕のラッシュ時には都心に向かう交通需要増と交通渋滞により時間的、経済的、環境的ロスを生じさせている。
 そこで行き過ぎた土地利用の郊外拡散を抑制し、都心部での居住を増大させる職住近接、都心居住型都市が効率的な都心形成策として注目されてきた。これがコンパクト・シティーである。建物はエレべー夕ーを必要としないせいぜい三、四階建て、二階以上が居住空間、一階は店舗、原則的に移動は自動車に頼らない、徒歩や自転車、場合によってはバスなどの公共交通でほとんどの用が足せる都市である。
 そのためには、二階から上層には商店主や従業員が居住し、高齢者や身障者などを含む一般住民も居住できるような生活空間環境の整備が必要となる。歩行者専用の街路を人々はゆったりと散策し、路上のカフェテラスではひとときの憩いと歓談している人々がいる。欧州の地方都市での風景をコンパクト・シティーとして想像してほしい。
 ところで、昨今まちづくりの大きな課題のひとつに中心市街地の空洞化現象がある。とりわけ人口の少ない地方中小都市では、空き店舗の増大で、にざわいや猥雑性を失った中心市街地が出現し、後継者問題とも関連しながら都市全体の健全な発展をも阻害しているようにも見える。その最大要因として中心市街地に人が住まなくなったことがあげられる。
 車を運転できないお年寄りや障害者、独り住まいの高齢女性世帯の増大などを勘案すれば、こうした人々に着目したまちづくりが、地方都市では有効に思える。高齢者や障害者を含むすべての人々を対象に一人でも多くの人々に都心に居住してもらうことで、コンパクトな都市を形成する、これがシルバーコンパクト・シティーである。
 ここでは、まず高齢者や障害者の居住を促進し、生きがいや活動の場、さらに参加機会を増大させるために、交通手段の整備も不可欠となる。重いものを持たずに買い物ができたり、気軽に知人を訪問したり、あるいは通院できる交通環境の創出、いわゆるタウンモビリティーといわれる、電動三輪車や電気自動車の利用できるシステムと連動したまちづくりが必要となる。
 シルバーコンパクト・シティーと夕ウンモビリティーと連動したまちづくりが現在、鷹巣町で計画中である。高齢者や障害者をも対象としたコンバグトな市街地形成構想が、地方中小都市の都心空洞化にも有効なように思える。
(秋田市柳田境田、秋田大学工学資源学部教授)