2000.1.15魁社説

最大限特色生かす一貫校目指せ

 県内初の中高一貫校の御所野学院(秋田市。御所野ニュー夕ウン)は四月から高等部が設置され、名目ともに一貫校として出発する。「国際的視野に立ち、新しい時代の郷土秋田を切り拓(ひら)く人材の育成」を建学の精神とうたって、さまざまな特色をアピールし、そのためのカリキュラムも独自なものとなっている。六年間という時間を一つの「期間」ととらえての試みには各方面からの期待も大きい。中高一貫校としての特色を最大限に生かし、その成果を県内教育界に還元してもらいたいと考える。
 御所野学院中学校は一貫校の中等部と位置付けられ、本年度開校した。一、二学年各二クラス、三学年一クラスの構成で発足。四月からは高等部となる御所野学院高校が一学年二クラスでスタート、将来は計六クラスとなる。平成十五年度以降は全学年がそろい、高等部ヘは御所野学院中等部卒業予定者の生徒だけが入学することになる。
 御所野学院の教育課程の特色としてあげられるのは、まず六年間を見通したゆとりある編成が挙げられるだろう。これまで中学校、高校と区切られて学習してきたものが、切れ目のない時間の中で弾力的に運用されるということは、生徒の個性の伸長や自主性を育てることにつながるのではないか。
 また、選択学習の導入も大きな特色である。表現科の開設(社会人講師の指導による)、郷土学習の導入、地域活動や体験的奉仕活動の実施、学習指導の質的転換(前後期制の導入、六十五分授業)も注目されるだろう。
 具体的に来年度の高等部の教育課程を見てみると、大きな柱は「郷土学」と「表現」。一、二学年では両方とも選択必修で、三学年では「表現」が選択必修、郷土学が必修となっている。
 郷土学も選べるテーマは多い。環境と人間、高齢化社会と福祉、情報化社会と人間、国際化社会と秋田、伝統文化と未来都市が一、二年を通じて勉強できる。「表現」では外国語(ロシア語、ハングル、中国語)、コンピューターグラフィックス、絵画。彫塑、陶芸、生涯スポーツ、郷土芸能、演劇・能が選択できる。来年度は「表現」の中国語を特別社会人講師により開講する。また、社会人講師による「郷土学」の「環境と人間」、「表現」の「演劇・能」、同じく「コンピューターグラフィックス」も開講する。
 これらの学科の特徴は特別社会人講師、社会人講師の活用だ。専門分野にかかわる学習を、担当教師とのチームワークで深みを持たせようという狙いだ。秋田市教育委員会では現在、これらの特別社会人講師、社会人講師の選考を行っているが、適切な人選をしてもらいたい。教科面で専門社会人に活躍してもらおうという発想は、教師の指導方法にもフイードバックできるものだけに、生徒ばかりでなく教師にも刺激を与えるだろう。
 さらに御所野学院の学校運営の面で、学校教育懇談員が設置されるのも地域の中の学校という観点から特色となる。学校教育懇談員は文部省が十二年度の制度化を日指している学校評議員と同趣旨。評議員は、校長の求めに応じて教育活動の実施、学校と地域社会の連携の進め方などについて意見を述べ助言を行う。
 同懇談員については、御所野学院が学校、家庭、地域社会が一体となって特色ある教育活動を行うことを学校運営の基盤としていることから、その具現化へ向けて、まず同校に懇談員制度を導入。同校を先導的実践校とし、全市に懇談員制度を広げることにしている。
 中高一貫校というこれまでに経験のない新しい形態の学校が、将来の学校教育に対してどれだけの有効性を持ち得るかは教師、父母、生徒、広く言えば秋田市民の努力にかかっているといっても言い過ぎではあるまい。新しいものを生み出し、発展させ、定着させるにはある程度の時間が必要だろう。特色を最大限に生かす学校関係者の努力を願うとともに、私たちもまた、御所野学院の営みを見守りたい。