2000.1.22読売 社説
  学外からの刺激で学校は変わる

 何かとその閉鎖性が指摘される学校に、この春、新風が吹き込むかも知れない。文部省が二十一日に告示した学校教育法関連の法令改正はそんな期待を抱かせる。
 地方分権や規制緩和の流れのなかで、中央教育審議会は一昨年九月、「地方教育行政のあり方」に関する答申を出した。今回の改正はこれを受けたもので、新制度は四月の新学期からスタートする。
 最も注目したいのは「学校評議員」の新設だ。学校運営に関して、校長の求めに応じて意見を述べる制度で、評議員は学校外から校長が推薦、各自治体が委嘱する。
 東京都はじめ全国の自治体でこれに似た制度を先行実施しているところがある。学校関係者によると、スタートして最初に驚くのが言葉の問題だそうだ。「新学習指導要領」「新学力観」など、校内では当たり前の言葉が通じない。学校と学外を隔てる壁の高さを思い知らされるという。
 しかし、その説明から始めることで、かえって相互の理解は深まる。総合学習などで地域との交流学習が必要な時に、そのパイブ役として評議員が大きな力を発揮しているところも既にある。
 学校にとって外部からの口出しは確かに大きな負担になる。しかし、その負担をあえて背負い込むことで得られる利点を考えなければならない。
 地域住民が学校運営に参加する制度が法的に定められるのはこれが初めてだ。設置は義務付けられてはいないが、各自治体、各学校は積極的に取り組んでほしい。
 多くの学校に既にあるPTAには法的な位置付けはない。こちらは現に学校に通っている子どもの父母を中心とした組織で、評議員はもう少し幅広い視点を求められていると言える。ただ、学校を地域に開くという役割は共通で、協力し合って活動を進めるべきだろう。
 今回の法令改正でもう一つ、民間人に校長、教頭ヘの道を開くことになったのも、学校を世間の風に当てるという同じような意味がある。これは、教育界にとってはかなり衝撃的な改革と言えよう。
 これまでの最低条件だった教員免許がなくても、さらに教育経験とはまったく無関係の人でも校長に就任できることになる。免許の取得者にとっては権利の侵害とも言え、実際に反対する空気も根強い。
 教科を教えるならなるほど教育技術も必要だ。しかし、校長に求められているのは幅広い人材や社会的知識などを動員して学校を活性化させる力と言える。その適性に欠ける校長が散見される現状への不満が、今回の改正の背景にある。
 特色ある学校づくりが今後進んで行くなかで、特定の分野で豊富な経験を積み、経営手腕にもすぐれた民間人の校長は、重要な役割を果たすことになる。そんな校長と競争するつもりで努力する姿勢こそが、先生たちには必要だろう。
 校長を職員会議の主宰者として法令上に位置づけたのもまた当然だ。強権的な会議の運営は論外だが、時代は校長のリーダーシップを強く求めている。