2000.1.15
お茶の間エコノミー
電子商取引にコンビニ次々参入
利便性向上で普及促す

 インターネットを通じて商品を販売する電子商取引に、大手コンビニエンスストアが相次いで乗り出した。二十四時間営業の店舗を、代金の支払い、商品の受取拠点にする「日本型電子商取引」だ。消費者に身近な小売りの現場で始まったIT(情報技術)革命は、コンビニ業界の再編を促すだけでなく、他の産業界の勢力地図をも塗り替える可能性を秘めている。 (西沢 隆之)

 父 ただいま。おや、そのゲームソフトよくみつかったな。父さんもずいぶん探したんだぞ。
 息子 ごめん。コンビニの情報端末で注文したら、すぐ届いちゃったんだ。
 父 情報端末?
息子 銀行の現金自動支払機(CD)は知ってるでしょ。あれと似たコンピューターの端末がコンビニに置いてあって、そこから注文するんだ。操作は簡単で、指示に従ってパネルに触れるだけ。やがて、コンビニに行かなくても自分のパソコンからインターネットを通じて注文ができるようにもなる。
 父 最近話題の電子商取引というやつだね。インターネットにはホームページがずいぶんあるが、アメリカに比べて日本での普及はまだまだだね。
 息子 アメリカでの電子商取引の売上高はすでに年間二兆円に及んでいる。日本はまだその三十五分の一しかない。パソコンの普及率に差があるからね。
 父 クレジットカードでの支払いが大半だから、個人情報が漏れるのを嫌がる人も多いし、商品を宅配してもらうと家にいなければならない面倒もある。
 息子近所のコンビニを使えば好きな時に商品を受け取れるし、店頭で代金も払える。セブン イレブン・ジャパンなどの「セブンドリーム・ドットコム」は、今年十月からコンビニを拠点にしたサービスを始めるんだ。「日本型電子商取引」と意気込んでいるよ。
 父 どんなものが買えるんだい。
 息子 ローソンは九八年秋から店頭の情報端末でゲームソフトの注文受け付けを始めた。画面で申し込むと、バーコード情報が紙に打ち出される。これを店のカウンターに持つていけばソフトが受け取れる仕組みだよ。ゲームソフトはコンビニからの注文に優先的に応じるから、父さんより先に手に入ったわけさ。
 父 そうやって利便性を高めているわけか。ほかにはどうなんだい。
 息子パソコンやCDの販売から、航空券、コンサートチケットの予約、ゲームソフトの書き換え、最近はやりの動物占いと、ローソンは約二十のメニューをそろえている。セブン―イレブンでも、本が店頭で受け取れるようになった。扱う商品はもっと増えるだろうね。パソコン経由でも同質のサービスを受けられるようになる。
 父 わざわざパソコンを買って、プロバイダー(インターネット接続業者)に利用料と電話代まで払って、商品を買う人がいるのかな。今あるインターネット上の電子商取引も採算が取れている例は少ないんだろ。
 息子電子商取引でしか買えない、魅力的な商品がたくさんなければ消費者の心はつかめない。だからセブンドリームの設立には、音楽ソフトを配信するソニーや、海外からの商品調達を得意とする三井物産が加わったんだ。セブンドリームの約八干店に対して、ローソンは約七干店、ファミリーマートなど五社連合は約一万三千五百店あるが、コンビニ以外の企業と組んで、どれだけ商品をそろえられるかがポイントだ。場合によっては小売業界が劇的に変わるかもしれない。
 父 ヘえー。お父さんも年を取ったら、家からコンビニのホームページに接続して買い物をしようかな。
 息子 サンクスアンドアソシエイツとサークルケイ・ジャパンは、別会社を作って一回五百円の料金で店頭で売っている日用品などをインターネットなどで受け付けて宅配するサービスを四月から始める。好奇心はあるがものぐさな父さんにはびったりだ。
 父 コンビニは若年層しか使わないと思っていたが、私も世話になりそうだな。