2000.1.19魁
「21世紀日本の構想」報告書要旨

「21世紀日本の構想」最終報告書の要旨は次の通り。

【現状と改革方針】
戦後日本は「追いつけ追い越せ」で驚異の成長を遂げたが、成功の代償により経済、社会は脆弱(ぜいじやく)、硬直化している。日本の中に潜む優れた資質、才能、可能性に光を当て、それを十分に生かし、開花させることを最優先の課題としなくてはならない。これを「日本のフロンティア」と呼ぶ。
その実現には、国民が国家とかかわる方法とシステムを変えること、市民社会における個と公との関係を再定義し、再構築することが必要だ。その前提として自立と寛容の精神が必要だ。
【世界情勢】
人、金、情報が国境を越え、大規模に移動するグローバリゼーションは今後さらに加速する。世界と対話するには「グローバル・リテラシー」(国際対話能力)が求められ、語学力と表現力、説得力などのコミュニケーション能力が欠かせない。情報技術(IT)革命の進行は速く、政治、行政、犯罪の在r万を変えていき、科学技術開発は意義を問い直される時期に来ている。小子高齢化は外国人受け入れなど、社会制度の変にを促すだろう。
【協治】
国、官、組織を優先し、上から下、官から民の官尊民卑型の統治が行われてきたが、今後は個人と組織の間に新しいルールが必要となる。一方的な支配ではなく、ルールと責任原則に基づく、双方向の合意形成での統治、すなわち「協治」が必要だ。
【個の確立と新しい公】
グローバリゼーションなどの潮流の中で、多様性が基本となる二十一世紀は、白由に自己責任で行動し、自立した個人、「たくましく、しなやかな個」が必要となる。そうした個が社会に参画することで新しい公がつくられる。また、その公が個により人きな機会を与えるという共鳴効果が「協治」を生み出す。 【教育の転換】
リスクを負って先駆性を発揮した個人が十分に報われる「新しい公平」を導入すべきだ。同時に「やり直しがきく」仕組みも重要。
教育における国の役割は二つ。「義務としての教育」では社会の構成員として必要な知識・能力を身につけさせる一方、「サービスとしての教育」は市場の役割にゆだね、国は間接支援に。例えば小中学校では週三日を「義務としての教育」にあて、残り二日をその補習や、より高度な教育を履修できるようにする。
社会人になるまでに日本人全員が実用英語を習得するといった具体的な目標を設定。長期的には英語を第二公用語とすることも視野に、国民的論議が必要。
【多様性を生かす】
教育、雇用、育児、社会保障などを一体とした総合政策が必要。年金など負担と給付の関係、政策の選択肢を明示し、個人が生涯を設計できるようにすべきだ。
権限を移管するという地方分権の発想でなく、住民が地域の政府のあり方を自分で決められる仕組みをつくり出す。税や地方債は独自に決めるようにする。
公益法人と民間非常利団体(NPO)の設立は一本化して登録制とし、寄付免税の優遇資格を第三者機関で統一的に審査する。
外国人が日本に住み、働いてみたいと思う「移民政策」が必要。当面、日本社会への寄与が期待できる外国人の移住・永住を促進する制度を設ける。日本ヘの留学生には、修了時点で自動的に永住権が取得できる優遇策を考えるべきだ。
【協治を築く】
政治家には構想力と表現力、国際的対話能力、公を担うという気概と倫理観を求める。議員の政策スタッフの充実、政党、大学・民間シンクタンク、NPOなどの政策提言機能や政策研究の強化が不可欠。また、財政赤字など将来世代ヘ負担の先送りにつながるような問題は、政治的利害から中立的に企画。立案する仕組みの確立が必要。
議員定数の不平等を定期的に自動修正できるようにする。首相公選制の是非も議論を始めるべきだ。選挙権を二十歳から十八歳に引き下げる二とを提言。少子高齢化の中で世代問の利害対立も厳しく、若い人たちの戸を政治に反映させるべく努力しなければならない。
政府の役割は「民間ができないことのみを政府がやる」という原則で厳選。
司法の国際競争力を高めるため、上限枠を設けずに法曹人口を大幅増するべきだ。法律相談などに弁護士以外の参入を認め、他の職種の社会人にも資格取得を容易にする。公正取引委員会など準司法的な機関の機能を強化し、事後規制発動のルールを明示する。
【開かれた国益】
現実主義に裏打ちされた国益論議を活発にし、自国の国益追求が世界の公益追求と響きあい、世界の公益の実現が自国の国益に重なる「開かれた国益」を追求する。
民生的な手段で国際公益を増進させることを意識的に目指すべきだ。国際経済秩序構築ヘの参画、政府開発援助(ODA)の積極的な実施、文化・環境・人権などの領域での国際的協力を進める。
日米同盟の安定。維持・活用が根幹。必要な法整備を進め、集団的自衛権の行使などについて国民的な論議を持つべきだ。正当性のある国際安全保障上の共同行動は原則的に支持し、日本の参加の可否や程度について国民的論議を伴った検討を。総合的でかつ重層的な安全保障が必要。
日本と韓国(朝鮮半島)・中国との協力関係を一段と強化すべきだ。外交的努力だけでは不十分。国民的な覚悟を持ち、深みのある関係を築く営みが不可欠で、これを「隣交」と呼ぶ。
【日本の志】
「立ち向かう楽観主義」と「実務的な想像力」をもって二十一世紀に臨みたい。時間の視野を広げて、自分一代で何かを手っ取り早く成し遂げようとするのでなく、三代、八十年をかけて何かを成し遂げる、そういう志をみんながそれぞれに持つ。