展望を切り開く地元SCに期待

 初売りと言えばかつては二日からだった。今は元旦の初売りも珍しくない。大型店が元日から始めようとした際、県内の小売店などから反発が出たのはつい四、五年前である。現在は反発よりも歩調を合わせるムードだ。それだけ小売業界は激烈な競争の中にあると言える。
 県内の商業地図は年々大きく変わり続けている。市部郊外やロードサイドに次々と進出する大型店。対する既存の商店街は、ポイントカードの導入などにより、客の流出阻止に必死だが、なかなか歯止めが掛からない。商店街の空き店舗増加などによる空洞化問題の解決は、今年も大きな課題である。特に、郡部の小規模、零細店にとっては、閉そく感に包まれたままで、光明を見いだせないのが現状だ。
 県商業統計によると、平成六年の県小売販売額に占める大型店(第一種、二種)の割合は二三%。最近は三O%を越すとされている。こうした厳しい商業環境の中、小規模商店主が結束し、六郷町と八竜町にショッピングセンター(SC)が誕生した。新たな展望を切り開くチャレンジとして注目し、期待したい。
 六郷町のSCは、「AX(アックス)」。安楽寺の県道角館・六郷線沿いに約三千二百平方bの敷地を確保、店舗は鉄骨平屋で、計約干八百平方b。百台分の駐車場を備えている。総事業費は約三億円。
 地元の商店主ら六人が「六郷町商業協同組合」を設立、昨年十一月開店した。食料品、生花、酒、衣料、菓子、ビデオ・CDど六店からなる。年間売上目標は約十一億円。
 八竜町のSCは、「ポポロ」。浜田の国道101沿いで、敷地面積は一万二千九百方b。鉄骨平屋建ての売り場面積は約千三百六十平方b。駐車場は百九十台分。総事業費は約五億二千万円。
 商店主七人が「協同組合八竜」を設立。薬、酒、衣料、軽食、食料品など七店で構成、年末に開店した。売上目標は約十三億円。
 八竜町に大型店はない。だが、町民の購買動向調査では、日用品など最寄品の六五%、衣料など買回品の九一%を能代市の大型店など町外で購入。年々その率は高まっている。
 六郷町においては、近接の大曲市や横手市に大型店の進出が相次いでいる。寺の町として栄え、商店街もにぎわったが、近年はどの店も厳しい経営という。中仙町には県南で最大とされるスーパーも開店した。
 大型店は、広い駐車場を整備し、一カ所で各種の買い物が可能(ワンストップサービス)だ。コミュニティー施設もあり、集無客は大きい。
 八竜、六郷の各商店主は、生き残りを図る打開策として協同組合を設立。大型店のようなワンストップ型のSC造った。
 中小企業協同組合法に基く組合は、国、県の高度化資金の対象になる。事業資全の八割を無利子で、二十年にわたって借り入れできるメリットがある。
 二つのSCともこの制度を利用、集合して大店舗をオープンさせた。加えて「地域密着」「利便性」という従来のコンセプトをフルに生かすことで、大型店ヘの客流出を阻止、対抗していくものである。
 協同組合方式の集合店舗は、昭和四十年代に、湯沢や大曲、能代、鷹巣町などでも開店した。しかし、そのほとんどが解散している。
 協同組合は出資組合員一人ひとりに対等の発言力がある。その結果、どうしても臨機応変に対応できず、硬直化した経常に陥りがちである  一方、スーパーなど大型店は、テナントの配置、業種、業態を含めリニューアルを随時行う。売上減が続くテナントがあれば強制的入れ替えも辞さない。フレキシブルな対応は常識である。
 協同組合SCに求めたいのは、ニーズに合った経営を忘れないことで
ある。共同の店舗に入り、大型店化したというだけで満足すると、かつての轍(てつ)踏むことになる。  商工会や経済指導団体、県など自治体は、今回の地元商店主の挑戦を積極的に支援してほしい。成功することで、各地の商店街、商店主とも元気になる。


秋田魁新報2000.1.7社説