作文紹介

全国納税貯蓄組合連合会長賞
誇りを持つて
矢島町立
矢島中学校
佐藤  舞

 英国風の街並みと穏やかな気候。苔むしたレッドシーダーの巨木と清らかな水をたたえた湖。豊かな自然と近代的な都市の作り出す絶妙のハーモニー。そして多民族国家としての複雑な文化と人間性豊かな魅力的な人々。
 今年の冬休み、私は矢島町の海外研修でカナダでホームステイを経験してきた。
 十日間という短い生活の中で、私はカナダの消費税に興味をもった。カナダでは消費税が二種類あり、カナダ全土で共通の連邦消費税は7%、それに各州毎に定められた州税が加えられる。私の滞在したビクトリアの州税は7%で合計14%。ところがノバスコンシア州では15%で、合計22%にもなる。日本人と比較しても驚くほどの高税率なのに、カナダの人達があたり前の様に支払っている姿を見て、私は疑問をもった。そこで引率の須田先生がディナーに招待された晩、先生に助けてもらいながら「カナダの人にとつてこの高い税率はあたり前なのか」と消費税のことについて質問してみた。
 ホストファザーのケンは「私達にとってもこの税率は極めて高い。けれど、私達の支払う税でカナダという新しい国が作られていくんだよ。」と答えてくれた。広大なカナダを旅する時、人々はハイウェイを使うが、この道路一本を作るために莫大な費用がかかる。快適で、便利な生活を作り、維持していくために自分の税が役立っているという自覚。しかし、一本の道路が作られることで、豊かなカナダの自然は破壊されることになる。深い森とそこに住む野生動物。それを守る自然保護官や様々な施設にも、それらの税が生かされているという誇り。豊かな生活と豊かな自然、広大な国土と少ない人口。カナダという国を自分達の税で支えているという彼等の考え方に、圧倒された様な気がした。
 また、彼らは税を納めるかわり、自分たちの税が有効に、不正なく用いられているか政治や行政を厳しく監視しているのだという。だから、ニュースや新聞にもきちんと目を通し、たとえ小さなことでも世論という形で意見を述べ政治に参加しているのだという。彼等は納税という国民の義務、政治への参加という国民の権利を行使しながら、自分達の税が国を守っているということに自身と誇りを持つて生活している。
 そんな人達と接して私は、今までの自分の税に対する意識や考え方を恥ずかしく思った。
 もし税がなかったら…。私達は便利さを失い、自然を失い、自分の命も失うかもしれない。自然豊かな矢島と快適な生活を作り出す為に、税を役立ててほしいと思う。
 私の税に対する考え方を変えてくれたカナダでのホームステイ。私もカナダの人達のように、自分の税が国を支えるという自覚をきちんと持つて納税できる人になりたいと思う。
 自分達が日本という国を作るのだという気持ちを忘れずに…。
 
さわらび第71号(本荘由利納税関係団体協議会 発行)1999.12.10