まちを経営する
TMOが果たす役割
中心商店街の現状と課題
全国で9割以上が衰退
地域資源活用と戦略を

<第1講>

多摩大経営情報学部教授
望月照彦さん
 中心市街地活性化法の施行を受けて、県はこのほど、商業者や商工関係団体、市町村職員らを対象にした「タウンマネジメント講座」を開講した。まちづくりのリーダーを・育成するのが目的で、街づくり機関(TMO)が果たす役割とは何かなど、新たなまちづくりの手法を模索する内容だ。「第一講は五月二十八日、水戸市の県産業会館で開かれ、多摩大学経営情報学部教授の望月照彦さんが「中心商店街の現状と課題」「タウンマネジメントの考え方と街づくり」をテーマに講演した。全十回の講座の内容をシリーズごとに紹介する。

【講演要旨】
◆中心商店街の現状と課題
 現在、全国の九割以上の中心商店街が衰退傾向にある。商業は、その地域の文化を支え、生活に潤いを与えてきた存在だった。中心市街地はさまざまな事業の中核であり、生活の舞台でもあった。その中心市街地が空洞化するということは、生活の空洞化、文化の空洞化、経済の空洞化、さらには地域の未来の空洞化、にもつながりかねない。
中心商店街の存在意議は少なくとも七点挙げられる。
一つは「地域の顔」であること。地域の個性であり、そこに住む人たちの跨り、心のよりどころであることだ。
二つ目は「コミュニティー。キーパー」であること。
三つ目は「地域文化の伝承。創造者」であること。
四つ目は「エコロジー&エコノミー環境(エコ環境》と実のある場」であること。人の心を美しくしてくれるところという意味だ。
五つ目は「自立循環型経済のステーションであり苗床である」こと。ナチュラルチェーンが地方から利益を収奪するような状況では街はよくならない。地域の中でお金を循環させることが大切で、コミユニティービジネスが地域社会で支持される環境があるということだ。
六つ目は「ハンディキャッパーやマイノリテイーが喜んで出掛けていける場」であること。
七つ目は「地域のへそ。生命の源であり、思い出の場」であること。まちは「人の記憶のセンター」でもある。
◆TMOの考え方
このような存在意義を持つ中心市街地が空洞化したら、都市の未来はないだろう。だからこそ、人々に愛され、喜ばれる、ぬくもりのある人間的なまちづくりが求められている。
 中心市街地活性化法には、いかに交流を創出して、その街や人に感動してもらえるまちづくりができるかという思いが込められており、それを担うのがまさにTMOだ。TMOとは、人やモノ、金、情報、サービス、環境などの街の資源を十分に生かし、コミユニティーと生活者の幸せを願って街を豊かにするため、「街の経営」(タウンマネジメント)を行う組織のこと。
 十三省庁の補助メニューを使いこなす実践の考え方をしっかりと持ちていなけれぱならず、その役割としては次の十一項目に注目すべきだろう。
@街・コミュニティー。商店街経営の哲学とビジョンを明確にする
A地域の経営資源を生かす
B街の商品化計画を持つ
C集客戦略を持つ
D商店街ファンド(基金)をつくる
E商店街は社会に貢献する
F市民起業家、コミュニティー・ビジネスのインキュベータとなる
G地域循環型サービスを確立する
H持続可能な社会をつくるためのエコ環境を創出する
I後継者・若者を育成する
J地域商店街等の広域連携などによる総合的な都市ビジョンを持つ−。
 地域の商店街が支持されるには
@市民、生活者、来街者にその街の味方(ファン)になってもらう
A市場を創造し、躍動する
B自治体に頼らず自らが知恵を絞って、自己生成力・免疫力をつける
−ことが重要だ。
 それらを踏まえ、行政主導ではなく、行政、企業、市民、商工団体などの公的セクターがパートナーシップを持ち、一緒になって組織体としていくTMOが活躍する。中心市街地が勝ち残るためには、TMOをどうつくっていくかが課題で、戦略を持った「まちの経営」が求められている。