事例研究・埼玉県川越市
景観維持で観光客誘致
活性化推進へ基本計画

 第9講
川越市政策企画課主幹
木島宣之さん
 
 県のタウンマネジメント講座第九講は七月二十六日、蔵などの歴史資産を生かした街づくりに取り組む埼玉県川越市を舞台に実施され、川越市政策企画課の木島宣之政策担当主幹が「中心市街地活性化基本計画およびTMO構想の概要について」をテーマに講演。その後、参加メンバーらがそれぞれ現地を視察した。
【川越市の取り組み】
◆川越市の歴史と現状
川越市は室町時代中期に太田道真、道漑が築いた川越城を中心とする城下町を基礎として発展してきた。
 第ニ次世界大戦の戦火から免れたこともあって、喜多院などの神社・仏閣、蔵造りの店舗、時の鐘など市内の随所に貴重な建造物が昔のまま残され、文化財の宝庫ともいわれている。
 近年では首都圏都市として人口が急増し、一九九0年には三十万人を突破。交通網も整備され、中心市街地にはJR川越線および東武東上線川越駅と東武東上線川越市駅、西武新宿線本川越駅の三駅が位置する。
 市内には第一種大型店(店舗面積三千平方b以上)が十三店舗、第二種が四十八店舗と、駅前・郊外に大型店の出店が相次ぎ、慢性的な交通渋滞も影響して、中心商店街の停滞傾向が強まっている。
 しかし、歴史的町並み地区の川越一番街では蔵造りの店舗を活用した街づくり、川越菓子屋横丁会では昔ながらの駄菓子屋を再現した横丁づくりで、広域観光拠点としての歴史文化ゾーンを演出。特産のサツマイモや喜多院などと連携して、多くの観光客を呼ぶ街に変身した。年間三百八十万人の観光客がこの街を訪れるという。
◆活性化対策の流れ
 川越市では一九九七年十二月、庁内各課で中心市街地活性化基本計画策定プロジェクトを設置、本格的な中心市街地活性化対策に乗り出した。「川越駅西口地区」「歴史的町並み地区」など五ゾーンに分かれて基本計画策定のための検討会を開催。各地区でさまざまな計画がバラバラに実施されていたが、それをまとめあげる作業が求められた。九八年五月には各ゾーンには全体の基本計画案が完成。十一月に地元商店街や住民への説明会を行い、十二月、中心市街地活性化基本計画がまとまった。
 特徴的なのは、コンサルタントに頼らず、すべて内部職員の手作りで仕上げた計画であることだ。経費が十万円以下で済んだぼかりでなく、職員の能力開発にもつながったことは意義深い。街ヘの愛着も芽生えた。
 そして九九年一月、国と県にこの計画を提出。九八年七月に中心市街地活性化法が施行されてから埼玉県内では初めて、全国では二十二番目の取り組みだった。
 この基本計画に基づく事業実施に向け、川越市では中心市街地活性化関係課長会議を設置して全庁的な取り組みを開始した。三月には、いわゆるTMO構想となる「中小小売商業高度化事業構想」が完成。川越商工会議所が策定委員会を組織して策定したものだが、市からは部長クラスが五人委員となって参加した。
 市では六月に川越商工会議所をTMOとして認定。「中小小売商業高度化事業構想」に基づき、TMOである商工策定に取り組んでいる。
 中心市街地の区域設定は二百三十三ヘクタール。これらの計画は住民のコンセンサスが十分とれていないので、事業計画を進めながらその都度、コンセンサス形成をしていく。商工会議所が火付け役となって段階的にやっていくのが望ましいが、実際は大変なこと。まちづくり協議会ができて、やがてまちづくり会社ヘと発展していくことを期待している。